DM薄紙印刷情報増量計画

運営会社:カワセ印刷株式会社

 

執念のDM発送はいかにして成功したか

 郵送代が値上げ、資材が高騰と何かと上がる話ばかりで、上がらないのはお給料だけという昨今ですが、気持ちまでは下げないように心がけているDM薄紙印刷の古長です。

今回コラムは、「執念のDM発送はいかにして成功したか」と題しまして、重量オーバーしてしまった封書DMをいかにして50g以下にしたかというエピソードを臨場感たっぷりの口語調でご紹介します。

1. とにかく50gにしてくださいあくなきDM減量挑戦の始まり

 以前、私が営業マンであった時分、まさにそう、今と同じ郵送代が上がる時期にお客様よりご相談を受けた時のこと。

 ゆうメールで送っていたB5仕上がりの8P中綴じ冊子DM(A3コート四六判73kg)を別のダイレクトメール一式にも封入して郵送したいとご相談を受けました。

※ゆうメールや郵便の違いはこちらを参照下さい

「今回は郵送ですと洋長3封筒でしょうから、用紙を薄くして、その中綴じ冊子をさらに三つ折り(DM折り)しなければなりませんね」

と申し上げました。

 トモエリバーとは、㈱巴川製紙所という製紙メーカーが製造・販売していた薄葉印刷用紙です(現在は三善製紙が製造)。

「そうなんですよ、だけど薄紙は普通紙より用紙代が高いですよね?」

「おっしゃる通りです。この総重量ですと実績のあるトモエリバーという用紙になろうかと思います」

「うーん。その紙だと高いからダメですね。何かトータルで良い提案してくれますか?」

「とにかく総重量を50以下にして、さらに用紙含めた印刷代などのトータルコストも下げるということですね」

「はい、そうです」

人気を博している『ほぼ日手帳」は、実はこのトモエリバーを使用しています。今回のDMなどに良く使用していた薄紙はトモエリバーハイグロス四六判44.7kgという紙です。

参考リンク:新しいほぼ日手帳の紙「トモエリバーS」のこと。 – ほぼ日手帳マガジン – ほぼ日手帳 (1101.com)

「部数が多いから、印刷加工代を下げても大したコストダウンにならないなあ」

「コストに占める割合が大きい用紙代を下げるしかないかな。むむむ」

困りましたが、社内に持ち帰り相談します。

2. 社内で良いアイデアがないかを相談真打ち登場~

 早速、帰社後に落語家や講談師の真打にあたる師匠(先輩)に相談しました。私はまだ弟子が持てない前座か二つ目ぐらいの営業マンです。

「え?こちらで用紙をコントロールできないから、お受けしない方が良いということですか?」

「それまずいですよ~。安請け合いすると自分の首を絞めますよ~」

そう、こちらのお客様は用紙を先方の資材部からご支給いただくお客様です。弊社で紙を購入することはできません。

 「(流石はミスター印刷営業、年季が入っている。それが正しい解なのだろう)」

 ただ、私は頼りにされたからには、何とかしてあげたいという考えでいた。ご担当者に良く思われたいと言った方が正確かもしれない。そこに話を聞いていたもう1人の真打登場!

「スイングマットの方が安いし45kgあるから、提案してみれば」

「安くなるんだし、薄すぎてグロスとマットの違いもないから、大丈夫だよ!」

というアドバイス。

「え?トモエリバーと同じぐらいの金額ではなくて、安いのですね」

そう私は、同じ超薄紙だから同程度の金額だと思い込んでいたのである(通常薄い紙の方が安いですが、薄過ぎると特殊紙になり、価格は高くなります)

「(流石はポジティブ師匠、おかげで勇気が湧いてきた)」

「ありがとうございます!」

 スイングマットは、三菱製紙㈱の質の高いインキグロスを有するA3コート紙です。ただ、スイングマット四六判45kgをお客様の資材部さんが仕入れることができるだろうか。しかも駆け出し営業マンの私にとって、資材部の部長さんは恐い大きな存在でもある。

※スイングマットは現在在庫が薄い用紙になります。事前にお問い合わせ頂けると幸いです!

「う~む」

「お客様のためだし、交渉してみるか!」

私の意志は決まった。

3. 先方の資材部様に訪問薄い紙で厚い壁を乗り越える~

さっそく翌日、お客様の資材部に訪問し、おそるおそる部長にご相談。

「実は郵送代を下げるために用紙を薄紙(薄葉紙)に変えたいのですが…」

「うん、良いのではないですか」                                 

「ただ、いつも使用しているトモエリバーはコスト高になるので、安い薄紙を要望されています」

「え?他に薄紙あるの?スイングマット?どこの製紙会社の紙?」

「品質には問題ないの?」

「安いですが、弊社なら印刷品質も問題ございません」

「安定的に供給できるかだけど…」

「ま、コストダウンになるから、調べてみますよ」

「(よっしゃ!快諾いただけた)」

  「ありがとうございます!」

 その後、その日にご連絡があり、交渉の甲斐あってかご支給いただけることになったのである。今になって思えば、自分はお客様に育てられたと言っても良いのかもしれない。

その足でご担当者にご報告する。

「そういう薄紙もあるのですね。御社なら大丈夫でしょう!それで行きましょう!」

実は、トモエリバーやスイングマットなどの超軽量紙のカラー(4色)両面印刷や折り加工をできる印刷会社はかなり少なく、弊社はそういう薄紙印刷を得意としている。

参考リンク:対応可能な印刷・加工 | カワセ印刷株式会社 (kawase-p.co.jp)

 結果、苦労の甲斐あり、スイングマットで印刷することとなりました。

4. 解決したかと思ったが、問題発生さらなる減量によりボクサー体型のDMに

 全て解決したかに思えたが、ここでまた問題が発生します。念のため、重量計に載せると微妙に50gぴったりだったり、51gとかになったりします。

「何~!」

そう机上の計算では50g以下になっても、用紙にインクも載るため、微妙に変わってくることも良くあるのである。

他の封入物もあり、湿度などでも変わってくるため、危険だと判断。すぐさまご担当者に相談に行きます。ご納期まで時間があまりありません。

「同封する他のアイテム自体を減らしたり、合体したりできませんか?」

「うーん。それはダメですね」

 「(え~困ったな~どうする俺!)」

「仕上がりをB5サイズより小さくできませんか?」

「なるほど、サイズを小さくして、さらに減量する作戦ですね」

「はい、そうです」

「う~ん(え~データを修正しないとダメだな~間に合うかなあ)」

「承知しました!やってみます」

「お願いします!」

 その刹那、思い出しました。

 「(そうだ、この人、諦めない執念の人だったな)」と。

5. 諦めない執念の人全てはお客様のために

 以前、封筒のサイズをその方が間違えた際に、刷り上がったDMを小さくし、機械封入できるようにさらに断裁したことを思いだしました。

 封筒や封入封緘はお客様のセンターでされています。

「ほら四隅に余白があるか、字切れしないぎりぎりのところで断裁してくれれば良いですよ」

「製本後のものでも、おそらくできると思いますが…」

「見栄えが…」

「いいですよ。発送する方が大事ですから」

「現場の者に確認します」

 しかも一度納品したDMを社内トラックで回収し、三方をさらに断裁し、再納品しなければならない。

 一旦帰社し、弊社工場の製本課に相談します。

「なめれば良いのね?」

「はい、封入できないようで」

  印刷業界では、舐めるように少しだけ断裁して微調整することを「なめる」という。

「もう頼むよ~忙しいのだから」

「スミマセン。何とかお願いします!」

全てはお客様のためだと考え、社内にも頭を下げてお願いをしました。

結果的にこの2つのDMは無事に発送でき、費用対効果も良かったとのこと。

このお客様は、まさに「諦めない執念の人」であると再認識したのであった。

そしてDMのダイエットには成功したものの、その後、心労からか私の体重は増えるばかりであった。                                 

(完)

 このように一見無理かもしれないと諦めがちなDMもあろうかと存じますが、是非弊社にご相談ください。解決に向け、ご一緒にお手伝いします。

また、この事例に近い事例を掲載していますので、ぜひご覧ください。

【薄紙事例】某大手通信教育会社様の実例(封入点数の追加) | 薄紙印刷でDMを軽量化!DM薄紙印刷 情報増量計画 (tokyo-usugami-p.jp)

【薄紙事例】損保様DM事例(封入物の軽量化) | 薄紙印刷でDMを軽量化!DM薄紙印刷 情報増量計画 (tokyo-usugami-p.jp)

【薄紙事例】信用金庫様の会員規約の事例 | 薄紙印刷でDMを軽量化!DM薄紙印刷 情報増量計画 (tokyo-usugami-p.jp)

重量について奥の深いコラムもあります。

たった2グラム、されど2グラム | 薄紙印刷でDMを軽量化!DM薄紙印刷 情報増量計画 (tokyo-usugami-p.jp)

(文・古長雅行)

■プロフィール 古長雅行

大学では山岳部主将としてマッキンリー登頂を果たした精神力と統率力の持ち主。
現在は、丸みを帯びた風貌でたくさんのファンを持つ制作ディレクター。
お客様のご要望にお応えするため、全力で調査、提案する真面目さをもつ。
エコ検定、CSR検定、自動車整備士の有資格者。趣味はラーメン食べ歩き、建築巡り。